BABY'S Milton ミルトン
「えっ、こどもをしかってもいいんですか?」
「えっ、赤ちゃんを泣かせておいてもいいんですか?」
最近、乳児健診でこんな質問をされることが多くなってこちらのほうが、エーッと絶句してしまいます。
まず、「しかる」と「おこる」は違います。それから赤ちゃんが自然の欲求に従って泣いているのと、故意に泣かせられているのとは、違います。こどもを愛し、いつくしむことと、うわべだけ可愛がることとは、違います。まして、親である自分が、可愛いわが子からうらまれることのないようにしよう、などと構えているのは、本当の親の愛とは、かけはなれていると言えるでしょう。子育ては、けっして楽なものではないし、ファッショナブルなものでもありません。毎日毎日、地道に世話をするのを繰り返している中で、こどもが、独り立ちできるようになるのを待つ、そんなものだと思います。
親から離れて社会の中で一人の人間として、責任を持って自分で判断し行動できるように育てていくのが、親のつとめだと思います。そのためには、世の中のルールを教える必要があります。良い時はほめ、悪い時は「しかる」のは、大切なことです。でもこの時に感情にまかせて「おこる」ことは、禁物。こどもに理解できる言葉で、よーく説明してあげましょう。
また、赤ちゃんが泣くのは、貴重な自己表現のチャンスです。泣かせまいとするよりも、なぜ泣いているのかを考えて聞き分けてみて下さい。何か赤ちゃんが困っていることがあるなら、「いつでも力になるよ!」というメッセージを送り続けて下さい。
泣いている赤ちゃんの口をオシャブリでふさがないで下さい。赤ちゃんの口にオシャブリをつっこむ行為は、「ウルサイ、ダマレ、何モ言ウナ」というメッセージを送っているのと同じことです。
こどもがいくつになっても、こどもの気持ちに立って一緒に考えてあげられる親、大人でありたいと思います。
1999年 3月 『子育て待合室』文芸社 刊より
岩田裕子先生1977年、千葉大学医学部卒業。
千葉県内の病院で小児科勤務医として研鑽したのち、1994年、千葉市にて小児科クリニックを開業。
2004年~2008年 千葉市小児科医会会長
2008年 千葉市医師会 理事
